旅立つ前夜の出来事
後になって「旅立つ前夜」と分かった、翌朝に亡くなる前日の夜のことです。
ソファに座ったオレの腕の中に抱かれながら、こちらを見て話を聞いていました。
今でも何故そうしたのか分かりませんが、ゆっくり過去を振り返りながら思い出を語りました。
そしてお互い目を合わせながら、たくさんのありがとうを伝えることも出来ました。
わずか数時間後にその時が来るとも知らずに。
まるで映画の脚本のような、神様がくれた奇跡の時間だったと思っています。
「少ししたら行くから待ってろよ」
その夜、最後にあの子と交わした約束です。